ひとくち健康講座

社会性昆虫の話

2018年2月

 社会性昆虫(生物)とは、例えばアリやハチなど複数の個体が集合してコロニ―(集団)を形成し生活・繁殖していく生物を指します。
 アリの場合、平時に労働している個体は3割程度で、残りは何もしていないそうです。理論上は全てのアリが一斉に労働するコロニーの方が短期的には労働生産性が上がり構成個体数もコロニー数も増殖していくのですが、長期的な存続可能性という視点から見ると働かないアリのいるコロニーの方が生存確率に優れ、進化の過程で適者生存してきたそうです。理由としてメンバー全員が疲労するとコロニー維持が困難になり、また想定外のストレス時(自然災害・外敵の侵入・大きなエサの発見など)は労働予備力の有無が他のコロニーとの生存競争に寄与するそうです。また、アリやハチにも過労死があるそうです。
 人間社会にあてはめると、短期的効率至上主義は、いずれ組織の持続性をむしばむといったところでしょうか。

天童市民病院  高畠 典明