ひとくち健康講座

高齢者に対する音楽療法の話

2016年11月

 私は声楽家でも演奏家でもありませんので、楽器は何も演奏できません。でも、音楽を聴くことはできます。耳が遠くなっても手足でリズムをとり、打楽器を使うことはできます。音楽は昔から人の心に好ましい影響を与えてくれます。しかし、音楽が治療法として認知されたのは約70年前からです。音楽療法は、音楽鑑賞、音楽療法士による歌唱や演奏などがあります。身体障がい者の機能訓練、精神科領域、ホスピスなどで実施されていますが、高齢者を対象に健康寿命を延ばす介護予防や認知症の進行を遅らせる認知リハビリに有用であると言われています。私が委員を務める日本音楽療法学会特別プロジェクト研究では、介護予防としての音楽療法の効果を確かめる研究を行い、歩行能力、抑うつ気分、生活の質などに有用であることを科学的に証明しました。音楽療法は、高齢者が地域や施設で楽しく生活をするために役立つものです。機会があれば、ぜひ、参加や見学をしてみてください。

介護老人保健施設 ラ・フォーレ天童  佐々木 大輔