ひとくち健康講座

睡眠時無呼吸症候群と循環器疾患について

2013年1月

 睡眠時無呼吸症候群といえば、いびきあるいは日中の眠気だけが問題の疾患とは思っていませんか。確かに、両者とも重大な問題ではありますが、この病気の恐ろしさは、むしろ脳、循環器系の疾患を合併するこが多いことにあります。
 2010年に、日本循環器学会が発表したガイドラインによれば、全高血圧の30%、薬剤耐性高血圧症(薬の効きにくい高血圧症)の80%、心不全の76%、心房細動の50%、冠動脈疾患の31%、急性冠症候群(心筋梗塞など)の57%、大動脈解離の37%に、睡眠時無呼吸症候群を合併していたことが報告されています。これは、睡眠時無呼吸症候群が、これら循環器疾患の発症、進展に大きく関わっていることを意味しています。
 睡眠時無呼吸症候群は、無治療では決して予後の良い疾患ではないことをご理解いただき、早めに治療を受けることをお勧めします。

大竹内科呼吸器科医院  大竹 和久