ひとくち健康講座

黒いものが飛ぶ(飛蚊症)

1999年8月

目の前に「黒いものが飛ぶ」ことを飛蚊症と言います。これは蚊が飛んでいるように見えるという意味ですが、実際には黒いスス、糸くず、水玉、雲、おたまじゃくし、輪などが見えることもあります。そして、これらのものは目を動かすと、目と一緒にくっついて動いて見えます。色については黒いものから透明なものまであり、その数も1個から数個までさまざまです。
飛蚊症の原因は、生まれたときからあった組織の遺残によるものや、硝子体(目の中のゼリー状物質)の混濁によるものなど、心配のないものもあります。しかし、60歳代に飛蚊症が生じた場合は、後部硝子体剥離(はくり)によるものが多く、このうち6〜19㌫に網膜裂孔が生じます。そして、網膜裂孔を放置しておくと、失明の危険性がある網膜剥離の原因にもなります。その他、まれですが、注意の必要なものとして、糖尿病や高血圧症による硝子体の出血があり、多量の出血を防止するため、早期に治療が必要になります。

菅野馨眼科  菅野 馨