ひとくち健康講座

前立腺肥大症の話

1999年1月

みなさんにとって、前立腺という臓器はなじみが薄いかもしれませんが、どこかで前立腺肥大症という病気を耳にしたことがあるかと思います。この病気は、老人男性に特有のものです。前立腺は膀胱の出口近くにあり、尿道をとりまいています。50歳以上になると、多くの人は前立腺が少しずつ腫れ、膀胱の出口や尿道を圧迫するようになります。そのため夜間の尿が近くなったり、尿の勢いが弱まり排尿に時間がかかるようになります。これが前立腺肥大症です。前立腺肥大症は悪性の病気ではありません。しかし、長い間治療をうけないでいると、尿をしたくても全く出なくなる尿閉をおこすことがあります。また、つい深酒をすると、この尿閉になりやすいので注意が必要です。治療は、これまでは薬物による治療と手術療法でしたが、最近では外来でも可能な温熱療法やレーザーなどを用いた新療法が開発されています。このため、症状や前立腺肥大症の大きさ、薬の効果など総合的に判断して、最善の治療を選べるようになりました。

平野クリニック  平野 和彦