ひとくち健康講座

澄んだ心の目を
1998年1月
家族が構成する家庭には、夫婦の愛と葛藤の歴史を背景にして、それぞれの出生の機微と生育の過程と、風土に培われた生活があります。日々、帰途につく場所である家庭は、心をいやしてくれる究極の場であり、心の中の安らぎとよりどころでもあるのです。
戦後、家庭は、その機能を喪失し、その内実が崩壊しつつある現況を否定することはできません。その素因として、人間の生を、家族の形で捕らえようとするのは、あまりにも深遠で広大です。
いつの時代でも、家族の一員である子供の目は澄み切って輝いています。しかし、最近、家庭の内奥に潜む暗い空洞の渦に巻き込まれ、澄んだ目には、まだらな心の曇りが増えつつあります。
家族内の人間関係は、子供の健康に重大な影響を与えます。病める家庭は病める人間を作り出します。それゆえに、学校・家庭・地域社会の強力な連携の下に、心と身体の健康を目指し、感性豊かな環境づくりを図ることが、これからの重大な課題であると思います。