ひとくち健康講座

子供の中耳炎

1997年7月

子供に中耳炎が多いのはよくご存じと思います。水泳などで水が入って起きるわけではなく、ほとんどは耳と鼻をつなぐ耳管という管を通り、鼻やのどの炎症が中耳に達して起きるものです。<br> 大人と比較して、子供は風邪を引きやすく、また、耳管が太くて短いため鼻やのどの炎症が中耳に達しやすいのです。このため、急性中耳炎になり、耳痛や発熱を起こすのです。耳管は、鼻から中耳に空気を送ったり、中耳に貯留した膿などを鼻に排出するためにあるのですが、感染の経路にもなるわけです。<br> また、鼻やのどの調子が悪いと耳管から中耳に空気が通りにくくなり、聞こえにくくなる場合もあります。登山や飛行機に乗ったときに、下に降りていくときに感じる「耳のつまった状態」というと分かりやすいと思います。これが続くと、中耳に水が貯留した滲出性中耳炎という状態になり難聴の原因となります。<br> 風邪や鼻炎で鼻のグズグズが続いたり、また、風邪の後で、痛がらなくても聞こえが悪い、耳を気にするなどの兆候があれば要注意です。

武田耳鼻咽喉科   武田 一彦