ひとくち健康講座

マッサージとリハビリの話

2020年8月

 「リハビリの先生の指圧が弱くて物足りない」という相談を受けることがあります。日本人は特に、強めのマッサージを好む傾向にありますが、それに慣れることは危険です。
強い指圧は、筋肉を破壊し、一時的な血流増加で発痛物質が洗い流され、また、痛みによって脳からエンドルフィンなどの脳内麻薬が出ることで、痛みは抑制されて「痛気持ちいい」という感覚が生まれます。しかし、組織は痛んで「もみ返し」を引き起こし、修復過程で筋肉や皮膚はさらに硬くなってしまいます。
 ある研究では、指圧3kgと9kgで比較すると3kgでは筋肉の血流増加が持続したのに対し、9kgでは逆に血流が減少した、という報告もあります。
 みなさんもぜひ、体重計を指で押して3kgの強さを体験してみてください。想像以上に弱いと感じると思います。少し物足りないくらいの圧の方が、実はより効果的に凝りを解消してくれるのです。

吉岡病院  小形 拓也