ひとくち健康講座

お酒と睡眠の話

2020年4月

 眠れているかどうかを患者さんに尋ねると、「お酒を飲んで寝ています」と答える方がいます。お酒を飲むと眠ることができる、そう考える人は多いようですが、実際はどうなのでしょう。
 いろいろな研究の結果、お酒つまりアルコールには、寝付きを良くする効果があることが分かっています。しかし、眠り始めこそ深い眠りになりますが、しばらくすると浅い眠りになり、おしっこも出やすくなるので夜中や朝方に目を覚ましやすくなって、かえって眠りの質を悪化させます。
 また、寝付きが良くなるのはほんの数日で、その後は耐性がついて同じ量では眠れなくなります。結果、摂取量が増えてアルコール依存症の原因にもなります。胃炎や逆流性食道炎、睡眠時無呼吸症など睡眠の邪魔をする疾患の原因にもなりますので、眠るためにはお酒を飲まない方が良いのです。
 飲むときは深酒を避け、楽しくお酒と付き合っていきたいものですね。

秋野病院  押野 伸吾