ひとくち健康講座

アルコール依存症の話

2018年11月

 世間では喫煙の有害さはよく知られていますが、アルコールの問題はまだまだ知られていない印象です。交流の場でアルコールは良い役割を果たすこともあり、飲酒で気が大きくなる方もいますが、酔っ払い=アルコール依存症ではありません。問題なのはアルコールをやめたくてもやめられない、会社や家庭での関係が崩れてでも飲酒を抑えられない、飲酒しないと手が震えるなどの症状がある場合です。冠婚葬祭などで「こういう場だ、一杯くらい」という方がいますが、アルコール依存症は脳に変化を来し、その一杯で飲酒が止まらなくなります。難しい病気で一生向き合う必要があり、本人だけでなく家族も大変苦労します。
 もし冠婚葬祭などで飲酒の機会があっても、あなたの「一杯付き合えよ」がその人にとっては重大なことになりうるということを記憶しておきたいですね。大事なのはその祝う・悼む気持ちであって、お酒を飲むことではないのですから。

秋野病院  塙 歓