ひとくち健康講座

ピロリ菌と胃

2007年7月

 胃には強い酸があるため、細菌はいないと考えられてきましたが、一九八三年、胃の粘膜に「ピロリ菌」が生息していることが報告されました。感染経路は現在のところ分っていませんが、経口感染が有力だろうと考えられます。
 胃・一二指腸潰瘍の人は、ピロリ菌に感染していることが多く、潰瘍の発生、さらには再発や難治性に関係していることが分っています。胃の中がピロリ菌に感染すると、長い間炎症を起こした状態が続き、粘膜が委縮してがんへと発展してくことも考えられます。
 潰瘍の原因はピロリ菌以外にもさまざまありますが、ピロリ菌に感染している場合、除菌療法を行うことによって、潰瘍の再発を予防することができます。ピロリ菌の検査は内視鏡を使う方法のほか、血液、尿、便、呼気などで検査することができます。除菌療法が必要かどうかは、主治医とよく相談することが大切です。

安部内科胃腸科医院  安部 淑子