ひとくち健康講座

結核を見直そう

2000年4月

 結核菌は、1882年ドイツの細菌学者ローベルト・コッホによって発見されました。結核は、結核菌によってなるとの原則に従って、結核菌抹殺に、医学の全力は振り絞られました。特に、ストマイ・ヒドラジット・パス・リファンピシンなどの抗結核剤の出現により、結核菌の発育増殖は著しく阻止され、2000年の今日、一応その目的は達成されたかに見えました。しかし、そこにはまだ難しい問題が隠されておりました。<br> その第1は、これらの抗結核剤は、菌の発育増殖を抑制するものであって殺菌するものではありません。そのため薬剤に慣れた菌が生き残り、毒力を復活することです。これを耐性菌といいます。第2は高齢化社会に伴って老人人口が増加し、抗がん剤やステロイド剤の使用者が増え、また糖尿病や人工透析などで免疫力が低下し、結核菌に感染しやすくなった人が確実に増えています。今こそ結核は見直されるべき時です。

高擶診療所   齋藤 裕